フィルターの選び方
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フィルター(ろ布)に求められる要素
① ろ過効率が優れていること
② ろ過速度が安定していること
③ 目詰まりが少ないこと
④ ケーキの剥離が容易なこと
⑤ 耐用年数が長いこと
② ろ過速度が安定していること
③ 目詰まりが少ないこと
④ ケーキの剥離が容易なこと
⑤ 耐用年数が長いこと
これらを実現するため、「素材」「糸の種類」「織り方」「密度」「ろ過抵抗」等を
考慮する必要があります
素材について
素材については、物理的(熱や引張等)・化学的(耐酸性や耐アルカリ性等)な適応性を考慮します。
ろ過布の素材として、主に利用されている繊維は次の通りです。
ろ過布の素材として、主に利用されている繊維は次の通りです。
一般的に使用されている素材の材質は以下のとおりです。
ポリエステル
耐酸性・耐熱性・寸法安定性・耐摩耗性に優れ、乾式集塵、食品関連、鉱山関連、化学工業関連、水処理等に使用されます。アルカリ性の強いもの(例:40%以上の苛性ソーダ溶液等)には強度低下が見られます。デニール当たりの強度は4.3~6.0grあります。
酸の影響 | 35%塩酸、75%硫酸、60%硝酸ではほとんど強度低下しない |
アルカリの影響 | 10%苛性ソーダ、28%アンモニアではほとんど強度低下しない |
化学薬品の影響 | 一般に良好な抵抗性があり、特に酸に強い |
溶剤の影響 |
一般溶剤には溶解しない 熱m-クロロフェノール、熱ニトロベンゼン等に溶解 |
ポリプロピレン
耐酸・耐アルカリ・寸法安定性に優れ、吸水性がほとんどなく、化学工業関連、工場排水関連、鉱山関連、食品関連等に使用されます。耐熱性には劣りますが幅広くご使用頂けます。ケーキの剥離も大変良好です。比重は合成繊維中最も低く0.91です。デニール当たりの強度は4.5~7.5grあります。
酸の影響 | 濃塩酸、濃硫酸、濃硝酸ではほとんど強度低下しない |
アルカリの影響 | 50%苛性ソーダ、28%アンモニアではほとんど強度低下しない |
化学薬品の影響 | 一般に抵抗力があるが、次亜塩素酸ソーダでは強度低下する |
溶剤の影響 |
アルコール、エーテル、アセトンには溶解しない ベンゼンには高温時膨潤する バークレン、四酸化エタン、四塩化炭素、シクロヘキサン、トルエンには高温時徐々に溶解 |
ナイロン
抗張力・耐アルカリ性・耐摩耗性に優れ、化学工業関連、工場排水関連、鉱山関連、食品関連等に使用されます。繊維に柔軟性があり、水分を含むと伸びる性質があります。酸性の強いもの(例:濃塩酸・濃硫酸・濃硝酸等)には強度低下が見られます。耐熱性に優れた66ナイロン等の素材もあります。デニール当たりの強度は4.8~6.4grあります。
酸の影響 |
濃塩酸、濃硫酸、濃硝酸で一部分解を伴って溶解 7%塩酸、20%硫酸ではほとんど強度低下しない |
アルカリの影響 | 50%苛性ソーダ、28%アンモニアではほとんど強度低下しない |
化学薬品の影響 | 一般に良好な抵抗性あり、特にアルカリに強い |
溶剤の影響 |
一般溶剤には溶解しない フェノール類、濃ギ酸に溶解 氷酢酸に膨潤、過熱により溶解 |
芳香族ポリアミド
耐熱性の高さに特徴があり、収縮率も250℃までは1%以下で、高熱下での寸法安定性にも優れています。化学工業関連、鉄鋼・鋳造・非鉄金属関連等に使用されます。デニール当たりの強度は4.3~5.5 grあります。
酸の影響 | 濃塩酸、70%硫酸、50%硫酸でほとんど強度低下しない |
アルカリの影響 | 濃苛性ソーダ溶液、濃アンモニア溶液でほとんど強度低下しない |
化学薬品の影響 | 一般に良好な抵抗性あり |
溶剤の影響 |
一般溶剤には溶解しない 熱ベンゼンスルフォン酸に溶解 |
その他
以上の他に、ビニロン・アクリル・ガラス繊維・PPS・テフロン等の素材も利用されています。詳しい材質等は当社営業までお問い合わせください。
糸の種類
短繊維(スパン糸・紡績糸)
短繊維(スパン糸・紡績糸)
糸にケバ立ちがあるため微粒子を捕集しやすいが、目詰まりがしやすく、ケーキの剥離が良くない傾向がある。
長繊維(マルチフィラメント糸)
糸が平滑であるため微粒子を捕集しにくいが、目詰まりがしにくく、ケーキの剥離が良い傾向がある。
強度は短繊維よりも優れている。
強度は短繊維よりも優れている。
単繊維(モノフィラメント糸)
糸が最も平滑であるため微粒子の捕集には向かないが、目詰まりがしにくく、ケーキの剥離が非常に良い。
以上の特性を活かし、交撚(多種類の糸を撚り合せる)や交織(タテ、ヨコ糸に異種類の糸を使う)することもございます。
以上の特性を活かし、交撚(多種類の糸を撚り合せる)や交織(タテ、ヨコ糸に異種類の糸を使う)することもございます。
織り方(織物の三原組織)
平織(Plain)、綾織(Twill)、朱子織(Satin)が織物の三原組織といわれています。その他にも多重織など数多くの織り方がありますが、織り方によって、ろ過抵抗、表面平滑性、強度等に特性があります。
【断面図及び平面図】
【断面図及び平面図】
平織 ・表面が平滑かつ堅牢 ・布目が詰まったものが多く、高圧用のろ布として多く使用される |
綾織 ・表面に斜めの敏模様が見える ・柔軟性に富み、地厚な高密度のものができる ・ろ布では最も一般的 |
朱子織 ・表面が最も平滑で、ケーキの剥離が良い ・高密度の織物ができ、集塵機のフィルター用には最も一般的 |
密度について
タテ糸、ヨコ糸の1インチ間(2.54cm)の本数で表すことが一般的です。糸の太さ、撚糸回数、織り方によってろ布の空隙率や通気量を調整できます。
ろ過抵抗
ろ布の抵抗の度合は通気量が目安です。
これは12.7mm/Aqにおける単位面積あたりに通過した気体の量を表します。単位はcc/cm2/secです。
これは12.7mm/Aqにおける単位面積あたりに通過した気体の量を表します。単位はcc/cm2/secです。